
土壇場の恋・あなたならどうする?
第4章 綱吉と竜二
「誰にやられた」
「……」
初対面の名も知らない男に教える義理はない。
学校の友達にさえ言っていないのに……
言えるはずなんてないんだ。
(ってか、そんなのあんたに関係ないじゃん)
と、思って、綱吉は目線を逸らし黙り込んだ。
すると急に竜二は立ち上がり隣の部屋へと
綱吉を残して行ってしまった。
怒らせてしまったのだろうか?
いや、きっとあきれたんだ、と考えていると
救急箱らしき物を持ってきて、また綱吉の近くに
しゃがんだ。
「手当てしてやるから全部脱げ」
「別にいいよ」
「ちっとも良かぁない。従わねぇなら押さえつけてでも
脱がすぞ」
恐る恐る竜二の表情を見れば、
真顔だったので怖くなって渋々服を脱ぐ。
昨日の傷や今までの傷……それら全てが竜二によって
手当てされていく。
そんな竜二を見ながら綱吉は ”変な奴だな~”
なんて思っていた。
「ほら、もういいぞ」
そう言われて、脱いだ服を急いで身に着けた。
男同士とは言えど、知らない人に裸を見せるのは
少し恥ずかしかった。
「ありがとう……」
