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take a breather

第3章 このままもっと

「でも俺なんてまだいい方だよ
一年間って期間が決まってたからさ」

「そんな蛇の生殺し状態、期間が決まってなかったら地獄だろ」

「だと思うだろ?…でもそれをやってるヤツがいるんだよ」

「えー、マジかぁ…
よっぽどのMなんじゃないの?
好きな人目の前にして指咥えてるなんて…」

「そいつの場合、気持ち伝えることすらしてないんだよなぁ」

「そんなの同居しない方が良くね?
精神的にキツすぎんだろ…
ただ傍に居続けるだけなんて」

気持ちも伝えないままの同居

何故そんなキツイ状況にあえて身を置く?

「智はどう思う?その忍耐強いヤツのこと」

「…本人が好きでやってるなら問題ねぇだろ」

「ふ~ん、もしかして智もM体質?」

「うるせっ!
そんな話より翔くん、全然食ってないじゃん。
食えよ。旨いぞ」

智くんが刺身盛りからホタテを一切れ摘んだ。
醤油を付けるとそのまま俺の口元へ

「ありがと」

口を開けると智くんは口の中にホタテを入れてくれた。

「うまっ!」

「だろ?」

満足げにニコニコと笑う智くん。

「なに、餌付けでもしてんの?」

潤がニヤっと笑い揶揄い混じりにそう言うと、智くんはむすっとして唇を尖らせた。

「チゲェわっ」

「ん〜、でも実際されてるよなぁ。
料理は全部智くんに任せちゃってるし。
俺、智くんが居なかったら生きていけないよ」

目の前の潤が目を見開いて驚きの表情を見せた後、苦笑いを浮かべ智くんを見た。

「マジで同情するわ…智」

智くんの方はその言葉を無視したかのように料理に手を伸ばした。

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