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take a breather

第19章 ROMANCE

2階に上がった所で智くんが振り返る

下に何か忘れ物?と思ったら
手を差し出された

「手、繋ご?
家の中ならいいでしょ?」

「…うん」

差し出された手の上にそっと手を乗せると
ギュッと握られ歩き出す

トクトクトクトク…

手を繋いだ途端に速まる心音…
智くんにも伝わっちゃう?

少し前を歩く智くんをチラッと伺い見る

いつもと変わらない様子の智くん
俺の方が緊張してるのか…

ひとりで緊張してたのがなんだか悔しくて
繋いでいる手をギュッと握り返した

すると智くんの口元がちょっとだけ緩む

部屋のドアを開け中に入ると
またクルリとこちらを振り向いた

「今日優勝したごお祝い頂戴?」

「お祝い?いいよ?何がいい?」

智くんはニコっと笑い、こう言った

「翔ちゃんのことギュッてしたい」

「え?ギュッて?」

「こういうこと…」

繋いでいた手を解くと
智くんの腕が俺を包み込みこむ

「…へっ?」

驚いていると智くんの腕に力が込められ
ギュッと抱きしめられた

ドキドキドキドキ…

手を繋いだ時と比にならない
心臓の音が耳の中で煩く鳴り響く

雅紀に抱きしめられてもなんともないのに

不思議だな…

こんなにドキドキしてるのに
この状況が心地いい…

智くんの肩に頬を寄せ、もたれ掛かった

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