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take a breather

第19章 ROMANCE

「翔、ニヤニヤしてる〜」

頭の上から突然聴こえた声にビクッとした

今日はダンスイベント前日
大学に集合して3人で練習をする

誰もまだ来てなかったから
LINEのチェックでもしようかとスマホを取り出した

ロックを解除して画面を開くと
目に入ってくるのは
あの日、智くんと撮った写真…

帰り際、ライトアップされたお城が凄く綺麗だったから
最後にふたりで一緒に撮ったんだ 
 
そして、その写真を待ち受けにしてるんだけど…

楽しかったことを思い出してにやけてた?

無意識だったから、指摘されると恥ずかしい…

「なに?また動画観てた?
いよいよ明日だもんねぇ〜」

動画?明日?

あっ、そうか…
明日、もしかするとあの人のダンスを見られるかもしれないんだ

でも…今見てたのは別の物

「違うよ、動画じゃない」

「なぁんだ〜、凄く嬉しそうだったから
またあの動画観てるのかと思ったぁ
じゃあ何見てたの?」

雅紀が俺のスマホを覗き込もうとする

「いやっ、これはっ…」

咄嗟にスマホを背中の後ろに隠した

隠す必要はないんだよ?
でもさ『凄く嬉しそうだったから』なんて言われて
その嬉しそうな理由があの写真だなんてバレたら
きっとまた雅紀に揶揄われる

「いいじゃん、見せてよ」

雅紀が俺に抱きつくようにして
背中に手を回しスマホを奪い取ろうとする

「やめろって…」

必死に阻止しようとする俺…

「何やってんだ?お前ら」

潤の不思議そうな声

助かった…

「潤、助けて…雅紀がいじめる」

「いじめてなんかないよ〜
スマホで何見てたか教えてって言ってるだけじゃ〜ん」

「ふ〜ん…」

潤が俺の背後に回った

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