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take a breather

第18章 君への想い

翔くんは湯舟のへりに腕を掛け、もたれ掛かって湯に浸かる

「ココおいでよ」

『ココ』とはどこ?

取り敢えずゆっくりとお湯の中を移動してみる

翔くんの横…ひとり分のスペースを空けて座る

すると翔くんが座ったまま、ひとり分のスペースを詰めて来た

昨日だってこの位の距離で座ったよ?
でもさ、翔くんの腕がへりにあるから
まるで肩を抱かれてるみたいでドキドキする

そんな事を考えていた僕の右肩に
翔くんの右手が乗った

これじゃ肩を『抱かれてるみたい』じゃなくて抱かれてる…

更に翔くんの手に力が加わり抱き寄せられた

どうしよう…ドキドキがマックス

「はぁ…やっと捕まえた」

安心したような翔くんの呟き

「翔くん?」

「結構ヒヤヒヤしてたのよ?俺」

「え?なんで?」

「風磨に言われなかった?
『すぐに落とせそう』って」

「言われた…」

「パっと見ね、智ってフニャッとしてるから
落とせるんじゃないかって思っちゃうんだよね」

「そうなの?」

「そうなの。でもさ、見た目と違って意外と頑固ってか、自分の意思はしっかりと持ってるだろ?」

「うん、それは自分でも思う」

『これ』ってなると引けない時がある

「だからさ…智が、気持ちのない奴と付き合うことはないと思ってたんだけど
それでも智を狙ってる奴が多かったからヒヤヒヤして見てたんだよ」

「だったら早く翔くんから告白してくれれば良かったのに…」

僕だって翔くんの事、ずっと好きだったんだから

「だって、わかんなかったんだよ、智の本心が…
酔った時はしがみついて来るのに
普段はそんな気配見せないだろ? 
単なる酒癖なのかもしれないし…
そう思うと智の気持ちをちゃんと確認してからじゃないと
俺だって怖くて動けないよ…
本気なだけにね」

苦笑いする翔くん

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