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take a breather

第18章 君への想い

翔くんの話をざっと纏めると
翔くんが僕のことを好きになったのは入社式の時

本気で僕が具合が悪くなったと思って声を掛けたのに
僕のぽやんとした表情を見て
眠いのを我慢していたんだとすぐにわかったらしい

それが翔くんのツボに嵌って『可愛らしい人だな』って
その場で好きになってくれたんだって 

翔くんは風ちゃんと同じで
男の人とお付き合いをした経験があり
僕のことももっと早くに動こうと思えば動けた

でもそれをしなかったのは
僕が男の人と付き合った経験がないと知ったから

「最初に飲みに行った時に
『好きな人の人生を変えるかもしれないんだぞ?
智の気持ちがしっかりと俺に向くまでは気持ちは伝えない
お前も智に手を出すなら
一生共に生きてくぐらいの覚悟を持って手を出せ』
って言われたんですよ」

風ちゃんが苦笑いする

「当たり前だろ?
それまで大切に守ってきた智を
急に現れたチャラ男に持っていかれたら
たまったもんじゃない」

「きっと覚悟を持って手を出しても
櫻井さんに一生恨まれるんだろうな、って
怖くてすぐに手を引きました」

「ふんっ…所詮お前の想いはそれくらい簡単な想いって事だよ
最初から智を好きになる資格がないってこと」

「櫻井さんの想いが重すぎるんですよ…
まぁ、それに関しては大野さんも同じようなものでしたけど」

「本気で恋をしたら慎重になるもんなの
そんな経験をしたことない奴が想いの重さを語るな」

「はい、スミマセン…
でも、俺も絶対見つけますからね?
本気で好きになれる相手
なんてったって、櫻井さんの弟子ですから」

「俺は弟子を取ったつもりはねぇよ」

「いいじゃないですか
これからも恋愛の師匠でいてくださいよ
大野さんもね?」

「え?僕も?」

「そりゃそうでしょ
大野さんだって、長年櫻井さんの事、想い続けてたんだから
よろしくお願いしますよ?師匠」

「僕なんて何も教えられる事なんてない…
ただ、翔くんを想い続けてただけだよ」

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