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take a breather

第18章 君への想い

「そんな簡単な想いじゃないでしょ?」

風ちゃんの真剣な眼差しが僕を捉える

そうだよ…簡単な想いなんかじゃない…

初めて出会った時は優しくて素敵な人、っていう簡単な想いだったけど
翔くんを知れば知る程
本気で好きになっていったんだ…

でも、いくら僕が好きでもこの恋は実らない…

「さっき言ったでしょ?
俺も男の人を好きになった事があるって」

風ちゃんの目が優しいものに変わった

「うん…」

「それね?大野さんの事なんですよ?」

「えっ⁈」

風ちゃんがニコッと笑った

「気がつかなかったでしょ?」

「う、ん…全く…」

初めから僕に懐いてくれてはいたけど
そんな想いでいてくれたなんて知らなかった

風ちゃんはグイグイ来るけど気遣いも出来る子だから
翔くんとは別の意味で居心地がいい

今回の旅行だって
風ちゃんとなら一緒に行っても楽しめると思って
勝手に申し込まれてたけど悪い気はしなかった

「あ、でも勘違いしないでくださいね?
もう過去の事なんで」

「へ?…過去?…」 

「そう、過去…
大野さんが俺のこと見てくれないから止めました」

「僕、ちゃんと風ちゃんのこと見てるよ?
話す時に相手を見るのなんて当たり前のことじゃん」

「そういう意味じゃないんですって…
俺を恋愛対象として見てくれない、って事です」

風ちゃんが苦笑いする

恋愛対象でなんか見られないよ…
僕の中にはいつでも翔くんがいるんだから

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