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take a breather

第18章 君への想い

今日の観光場所はthe京都という所ばかり

午前中は金閣寺や石庭で有名な瀧安寺など
嵐山で観光しながらランチと買い物を挟み
午後も何ヶ所かお寺参りをして三十三間堂から清水寺に行って今日を締め括る

観光地はどこも落ち着いた風情で心が安まる

なのに…お昼の時間が近付くにつれ
僕は翔くんの事が気がかりでならない

3人でランチ…
デートじゃないってわかってるけど
それでもあの娘が翔くんに好意を持ってるのは見ていてわかる

しかも母親もそれをわかっていて翔くんを誘ってるんだ

となれば、翔くんは念押ししたって言うけど
ふたりきりにする方法なんていくらでもある

積極的な母親と違い
少し控えめで可愛らしい娘だし

もし翔くんがあの娘のことを気に入ったら…

「大野さん……大野さんってばっ」

「へ?」

隣を歩く風ちゃんに強めに呼ばれ歩みを止めた

「俺の話し聞いてます?」

「あっ、ごめんっ。聞いてなかった」

「大丈夫ですか?疲れてます?
結構歩きましたからね」

嵐山で自然を感じながらの散策
距離は歩いてるけど疲れはない

「ううん、大丈夫…
で?何?話って」

「いや、昼メシ、何食いますか?って聞いてたんですけど」

「あぁ…なんでもいいよ?
風ちゃんの食べたいもので」

「食べたいものかぁ…
夜、何食いに行くのかなぁ
それにもよるよなぁ…」

「『何食いに行くのかな』って
夕食も自由行動でしょ?」

「だから、櫻井さんがどこに連れて行ってくれるのかなぁ、ってことです」

「約束したの?」

「してないですよ?
でも夜は一緒に食べるでしょ」

「…そんなのわからないじゃん」

もしかすると、あの娘と…

「拗ねてます?」

「え?」

「櫻井さんがお昼一緒じゃないから」

「そ、そんなんじゃないよ
翔くんが誰と食事しようと僕には関係ないし」

「関係なくはないでしょ」

「…そうだけど…
僕が口を挟むことではない…」

翔くんと僕はただの同期なんだから…

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