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take a breather

第3章 このままもっと

潤が予約した店は創作料理を出す居酒屋。
堀座卓の個室を取ってくれたから気兼ねなく話せる。

「なに頼む?」

2冊あるメニュー表の1冊を隣に座る智くんと一緒にペラペラと捲っていく。

「ん~刺身は食いてぇなぁ…」

「だよねぇ」

ふと前の席に座るふたりに目をやった。
潤がメニュー表を指差し『これ頼む?』と囁くと、ニノが潤の顔を見ながら嬉しそうに頷く。

その様子を見てると何故か気恥ずかしい、というか照れてしまう。

ふたりが俺の知ってるふたりじゃない。
高校の頃小競り合いばっかりしていたのが嘘のよう。

「翔くん?どした?」

智くんに不意に声を掛けられ、慌ててメニュー表に視線を戻した。

「あ、何か美味しそうなものあった?」

「色々あるぞ。とりあえず刺身の盛り合わせは頼もうよ。
翔くんの好きなホタテが乗ってるし」

「ほんとだ。じゃああとは焼鳥と…だし巻き玉子も食いたい」

「お~いいねぇ」

「失礼しますっ」

扉が開き、店員が入室の際に頼んでおいた生ビールを持って現れた。

「もう頼めそう?」

潤に聞かれ頷くと潤は店員にオーダーを依頼した。

「んじゃあ、まずはコレ、とコレ」

メニュー表を指差しながら注文していく潤。

「そっちは?何頼む?」

「刺身の盛り合わせと焼鳥の盛り合わせ。それとだし巻き玉子」

「はい、畏まりました」

注文を取り終えた店員が退出すると4人揃ってビールジョッキを手に持った。

「では4人の再会を祝して、乾杯!」

潤の音頭で4つのジョッキが掲げられる。

「「「かんぱーいっ!」」」

ジョッキをカチンとならした後、それぞれの口元へ。

「「「「うまっ!」」」」

4人の声が合わさり思わず吹き出した。

「ぷはっ、息ピッタリ!」

「そりゃそうだろ。もう10年以上の付き合いなんだから」

当然とばかりに潤が言う。

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