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take a breather

第18章 君への想い

そろっと風呂場に入ると湯舟にはほんの数人の姿しかなく
翔くんは頭を洗ってる真っ最中

2席ほど間を開けた洗い場に座り
翔くんを視界に入れないように急いで体を洗う

「うぉ〜、きっもちいいっ」

背後から聞こえる翔くんの声
湯舟に入ったんだ

「智も早く来いよ〜」

「あ、うん…」

来いよって…翔くんの近くに?
そりゃそうだよね
離れて入ったら逆に違和感感じる

温泉に誘ったのは僕だけど
まさかこんな緊張の展開になるとは思ってなかった

それでもいつまでも行かない訳いかなくて
翔くんから少しだけ距離を取った所でゆっくりと湯舟に浸かった

「気持ちいいだろ…」

「はぁ…いいねぇ…」

ここまで緊張したけど
湯舟に浸かってしまえばやはり温泉は気持ちいい

パシャパシャと肩にお湯を掛けながら昼間の疲れを癒やす

「それにしても他のお客さん少ないね
ほとんど貸し切り状態」

「ん?あぁ…まだそんな遅い時間じゃないし
みんな飲んでるんじゃないか」

「あ、そっか」

程よく体が温まってきた

「智、露天風呂行ってみない?」

「うんっ、行く」

絶景だって言ってたもんね

立ち上がる翔くんの背中が目に入る

うわっ!背筋も凄いっ…
ジムに行って鍛えてるのかな?

「智?行かないの?」

露天風呂の出入り口の所で振り返る翔くん

「あっ!行くっ!」

慌てて立ち上がり翔くんについて行く

真冬の露天風呂…風は冷たいんだけど
熱くなった顔を冷ますにはちょうどいい

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