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take a breather

第3章 このままもっと

「そうだよ?
いつも布団は敷くのに、その後枕だけ持って『さとしくん、いっしょにねていい?』って」

あ…そう言われてみればそうだったかも…
なんだ、俺…あの頃から全然変わってないじゃんか。

「ごめん…」

なんだかいたたまれなくなってきた。
俺、ほんと昔から智くんに甘えっぱなしだ。

「なんで謝んの?」

「だって、俺…全然成長してないじゃん。
ずっと智くんに甘やかされてたのかと思ってたけどさ、事の始まりは俺から智くんに甘えてたんだ」

「最初は俺だろ?翔くんの布団に入ったのは俺なんだから」

「でもさ、その後からは俺がずっと智くんの所に行ってたんだろ?
そしたら甘え続けてたのは俺じゃん…」

「どっちでも良くね?
俺が翔くんを甘やかしたいことには変わりないんだから」

いいのかな?このまま甘えてて…

「智くん…」

「ん?」

「俺ね、今日、アイツに会ったんだ」

「ん…」

「でね、別れたい理由ちゃんと聞いた」

「うん…」

「もっと甘えて欲しかったんだって…」

「そっか…」

「でもさ、それ聞いたとき、俺、甘える必要ないから甘えてなかったんだよな、って思ったんだ。
俺には智くんがいるから…」

「……」

あの時、俺が思ったこと言ったらさすがに智くん引くかな?

それともこんな俺でも甘やかしてくれる?

「俺ね…」

「うん」

「もう、恋人いらない、って思っちゃった」

「……へっ⁉」

智くんの驚き顔が目に入る。

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