テキストサイズ

take a breather

第12章 Step and Go

「はい、どうぞ…」

マサキがカクテルを運んで来た

「俺たち頼んでねぇぞ?」

オレンジ色のカクテルがふたつ…

「俺とカズからだよ」

「えっ?カズ?」

そういえばピアノの演奏が止まってる

「はぁ〜い」

すぐ後ろで聴こえる声に振り向けば隣の席に座るカズが手をヒラヒラと振っている

「お前っ、いつからそこに⁈」

「智がショウにキスした時。
随分と熱烈なキスしてたね、おふたりさん」

「嘘っ!」

ショウの叫び声…

マジか…アイツから見えない所に座ったのに意味がなかったか

カズは立ち上がると俺の両肩を押し椅子に座らせる

「ほらせっかくゴチしてあげるんだから祝杯挙げなさいよ
『アイオープナー』…運命の出会いに乾杯、ってね」

そのままピアノに向かうカズ

マサキは頭を下げると席から離れカウンターへ戻って行った

聴こえてくる優しいピアノの音色…

「愛の夢…」

ショウはそう呟くと優しい微笑みを浮かべカクテルグラスを持った

「ふたりからの贈り物でありがたく乾杯しよっか」

「ん、そうだな」

もう一つのグラスを持ちショウのグラスに近付ける

「運命の出会いに乾杯」

「ははっ…乾杯」

ショウが笑いながら俺のグラスにグラスをカチンと当てた

「「あまっ」」

自分では絶対頼まない甘いカクテル…

俺たちのこれからの未来を予感させる味

ストーリーメニュー

TOPTOPへ