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take a breather

第12章 Step and Go

「んっ…ん…」

一方的に絡めとってた舌が俺の舌に絡みついてくる

抵抗して出ていた声も艶のあるものに変わった

両頬を挟んだ手をそのままにして
ゆっくりとショウから離れる

「ふはっ…」

ショウは大きく息を吸い込むと閉じていた目を開いた

俺と目があった瞬間、真っ赤に染まるショウの顔…

「あ…」

気まずそうに視線を彷徨わせるけど
顔を動かせないからどうしても視界に俺が入り込む

「…いい加減離せよ」

「やだ」

「離せってば」

上目遣いに睨むけどそんな潤んだ瞳で睨まれてもねぇ…

「やだよ。お前こそいい加減素直になれよ
ほんとは俺の事好きだろ?」

「は?なに言ってんの?俺は元々素直だよ!
俺は最初からお前のこと…」

「ああ、そうだった
最初から素直だったな、体は…
俺にひっついて寝てたんだから」

「うっ、うるさいっ!
寒かったからくっついただけだよ」

「ほんと素直じゃねぇなぁ…
その口また塞ぐぞ」

そう言うと口を閉ざし
また真っ赤に顔を赤らめる

「体は素直なのになぁ…」

ぽそっと呟くと観念したのかショウが言い返すのをやめた

ショウの頬から手を離し解放するとショウは俯いた

「…なぁ、ショウ…」

「ん…」

俯いたまま小さな返事だけが返ってくる

「俺はろくに恋愛して来てないから
偉そうなこと言えないけどさ
生まれてから死ぬまでひとりの人しか好きにならないって人
この世に何人くらいいるんだろう…」

「智?」

「殆どの人たちがさ、出会いと別れを繰り返してんじゃねぇの?
ショウの場合は確かに酷い別れ方したかもしれねぇけど
だったら尚更 幸せになって『俺の運命の相手は彼じゃなかったんだ』って思えばいいじゃん」

そう言うとショウは目を見開き『プッ』と吹き出した

「ははっ!まだ言ってんの?『運命の相手』
どんだけロマンチストなんだよっ」

ゲラゲラと声を上げて笑うショウ

「そんなに笑うなよ…
悪いか?俺がロマンチストじゃ」

「ふふ…悪くないね…ロマンチストな恋人
現実ばかりを追う俺にはいいのかも…
夢を見させて貰えそうだ」

「ショウ?」

「智の話に乗るよ…
俺の本当の『運命の相手』になってくれるんだろ?」

ショウが幸せそうな微笑みを浮かべた

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