テキストサイズ

take a breather

第12章 Step and Go

「馬鹿じゃねぇよ…
本気で人を好きになれるショウは
全然馬鹿じゃねぇ
馬鹿なのは俺だ…
いい歳して本気で恋愛したこともなくて
相手を思いやる事も出来ない」

人を愛し、自分を振った相手の幸せまで願えるショウは
俺よりもずっと人間として優れてる

「そんな事ない…
智に抱かれた時、それまでに抱かれてきた人たちとは違った
智はちゃんと人を思いやれる人だよ
ただわかりづらいだけ…
女性はみんなハッキリと言葉にして貰いたいから
口下手な智は理解されづらいんだよ、きっと」

そんな風に俺のこと見ていてくれたんだ
なんか意外だった…
俺の事なんて『いい加減な奴』くらいに思ってるのかと思ってた
最初の出会いが出会いなだけに…

「智のおかげで俺は吹っ切れたんだと思う
智に抱かれてそれまでしてきた事が無意味な事に気が付いた…
彼を求めたけど誰も彼にはなれない
その事を抱かれる度に感じてるのにやめられないでいたんだ
自分で自分を貶めて苦しめてるだけだってわかっているのにね」

苦笑いをするショウ

「智のあたたかさで俺は救われたんだ」

「俺があたたかい?
どこが?冷たいなら何度も言われたけど」

「だからみんなわかってないんだってば
智は優しくてあたたかいよ…」

そう言って俺に向かって優しく微笑んでくれた

「ならさ…俺にしない?」

「何を?」

「俺を本当に新しい恋人にしない?」

ショウは少し目を見開いた直後
哀しそうな笑みを浮かべた

「ありがと…でもそれはやめとく…」

「なんで?」

「もう…誰かを好きになって傷つきたくないんだ…」

吹っ切れたって言ったのに
やっぱりまだ癒えてねぇじゃねぇか…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ