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take a breather

第12章 Step and Go

俺の腕を掴んだまま早足で歩いていたショウのスピードが徐々に落ちていく

ショウの手が俺の腕から離れ
ゆっくりと歩みを進める

「…ごめん…変なとこ見せた」

「ん…いや…大丈夫…」

きっと…いや、間違いなくあいつがショウのトラウマの原因

「でも智がいてくれたおかげで助かった…
俺ひとりじゃあの3人の姿を見て逃げ出したと思う」

そりゃそうだろうな

ショウはまだ想いを引きずってる…
それでいて好きな人が幸せでいる姿を見たいわけない

「ちゃんと気持ちを整理しないまま
あの人の元を離れたから…
きちんと終わらせときゃよかったって
ずっと後悔してた
たまたまだけど会って話が出来て良かったよ
智も話し合わせてくれてありがとね」

「大丈夫か?
本当はまだ好きなんだろ?」

ありきたりな心配しかしてやれない
もっと気の利いたセリフ言ってやれたらいいんだけど…

「…好き」

だよな…だから夜毎オトコを変えるようなマネしてたんだから

「じゃないみたい…」

「…へ?」

「あの人が未練たらしく俺の事好きみたいなこと言った時
ちょっと前までの俺なら多分関係を復活させてた
それこそ愛人でもいいから会いたいって…
でもさっき思っちゃったんだよね
『何言ってんの?コイツ』って」

「本当に?」

「本当に…
智のおかげだよ、そう思えたの…
いつまでもひとりの男にしがみついてるのが馬鹿らしくなった
他に目を向ければ世の中 楽しい事だらけなのに
なんであんなにもひとりの人に執着してたんだろう」

「若い時からの付き合いなんだろ?
アイツが全てだったんじゃないか?」

「そうだね…あの人が全てだった
好きになって、好きになって貰えて…
愛して貰えて…
この人さえいれば何もいらないって思ってた
他にも好きな人が出来たって言われた時も
『俺の事、嫌いになったの?』って聞いたら『嫌いじゃない、ふたりとも同じくらい好きだ』って言われて…
本当はあの時 別れてれば良かったんだよね
そしたらあんなに傷付かなくて済んだのに…
ほんと馬鹿だ…俺」

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