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take a breather

第10章 Lotus

俯いた侑李くんが腕で目を擦る

「…ごめんなさい…僕…帰ります…」

そう言って立ち上がると顔を上げず頭だけ深々と下げた

そのまま振り返り歩き出す侑李くん…

侑李くんの姿が見えなくなると智くんが立ち上がった

「悪りぃ…ちょっと見送ってくる…」

「大野さんっ!」

カズさんが強目に智くんを呼び止めた

「ごめん カズ…やっぱほっとけないわ…」

カズさんは苦笑いする智くんを真剣な表情で見つめた

カズさんの体からフッと力が抜けた

「はぁ…追ってくならちゃんと決着つけてあげなさいよ…
中途半端が一番可哀想なんだから…」

カズさんが侑李くんに冷たく接してたのは 今の状態が可愛そうだと思ったから?

智くんにその気がないなら
キッパリと諦めさせる事が智くんにだけじゃなく
侑李くんにとってもいい事なのかもしれない…

「うん…わかった…」

智くんが小走りで席を後にした

「大丈夫かねぇ…あの人 変に優しさ出すから
泣き落としに負けなきゃいいけど…」

片肘をついて心配そうに背中を見送るカズさん

「大丈夫でしょ。
おおちゃん 自分の意思貫き通すもん
今は何よりも手に入れたいモノがあるんだから 簡単には負けないよ」

カズさんに微笑みかける相葉さん
その微笑みを受けてカズさんも安心したように微笑み返す

「ん、そうだね」

それでも俺は心配で…

何がこんなに不安なのかわからないけど
居ても立っても居られなくて…

「ちょっと トイレに行ってきます…」

ふたりに声を掛けて席を立った

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