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take a breather

第10章 Lotus

「…僕だって…諦めようとした…」

侑李くんがポツリと呟き 唇を噛み締める

「侑李…」

「大野くんが男からの告白を受け入れられないのなんて当たり前の事だし…
僕の事を嫌わないで 今までと変わらなく接してくれただけで十分だった…」

俯いたまま話し続ける侑李くん

「今日だって…本当に大野くんの事が心配だったから様子を見に行っただけなのに…
なのにっ!」

侑李くんが急に顔を上げ俺を睨みつける

「その人が悪いんだ!
出会ったばかりのクセして 大野くんを名前で呼んで!
タメ口で仲よさそうに話しして!
食事だって…僕がいくら誘っても応えてくれなかったのに 大野くんから誘ってもらって!
同じ男なのになんで⁈
ずっと大野くんを好きでいた僕はダメで
なんで急に現れたその人は良いんですか⁈
僕のどこがダメっ…」

侑李くんは瞳に涙を浮かばせ 言葉を詰まらせた

「侑李…お前にダメなとこなんてねぇよ…」

興奮した侑李くんに智くんが優しいトーンで話しかける

「だったらなんで…」

侑李くんは潤んだ瞳で縋るように智くんを見つめた

「なんでだろうな…俺にもよくわかんね…」

智くんが苦笑する

「恋愛なんてね 本人だってわからないもんなんだよ…
なんでこんな人?って思うような人を好きになったりするんだから
頭じゃなくて心が勝手に求めるんだよ 相手のことを…」

カズさんが視線を伏せ 誰に言うわけでもなく話す

相葉さんと付き合うまで 時間が掛かったって言ってた

きっと自分自身の経験を踏まえてのことなんだろう

すんなりと自分の気持ちを認められなかった

でも心が相葉さんを求めたんだ…

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