テキストサイズ

take a breather

第10章 Lotus

「お待たせしました 生ビールです」

「お、きたきた」

店員さんがビールジョッキをテーブルに置くと相葉さんが手際よくみんなに回してくれた

「じゃあ飲みますか」

相葉さんがジョッキを持ち上げると
それに合わせ みんなもジョッキを手に取った

「かんぱーい!」

「「「「かんぱーい!」」」」

相葉さんの号令のもと5つのジョッキが『カチン』とぶつかり合う

そのままジョッキを口に運んだ

「ぷっはぁ…やっぱ夏はビールだな!」

半分近くを一気に飲んだ相葉さん

「あんたは1年中ビールでしょうよ」

「ははっ、そうだった」

カズさんのツッコミにも笑顔で応える相葉さんを見ていて
毒舌だけど そんなカズさんを好きだと言っていた意味が少しわかった

カズさんだからわかる相葉さんのこと…

それを鋭く指摘されればされる程
カズさんが自分のことをよく見てくれてるって感じるんだ

早い話が『俺 愛されちゃってる』って実感が出来るってこと

言われてる相葉さんが幸せそうなのが何よりの証拠…

「翔ちゃん お酒弱いの?
あまり飲んでないみたいだけど…」

気遣う智くんの声…

ふたりのことに気を取られビールがすすんでなかった

「あ、ごめん…ちょっと考え事しちゃってた」

ジョッキに口を付けゴクゴクと流し込む

「仕事のこと?」

「ううん、違う…あのふたりのこと…」

ふたりだけの空間を作り出し
会話を続ける相葉さんとカズさんを見た

「あぁ…カズと会うのはじめてなんだろ?」

「うん。はじめは怖い人なのかと思ったけど そうじゃないんだね」

「誤解されやすいんだよ カズは…
すっげぇいい奴なんだけど それを表に出したがらないし
言ってることは正しいんだけど
相手にしてみれば痛い所を突かれるようなこともズバッと言っちゃうから」

誤解されるかされないかは
相手がそれをどう受け止めるかなんだろうな…

指摘されたことを素直に認めるか
それとも素直に認められず反発するか

おそらく相葉さんと智くんがカズさんと上手く付き合っていられるのは
ふたりが素直に認められる人だから

人からの指摘って変なプライドを持つと受け入れられなかったりするけど
このふたりはそれがなさそう…

やっぱり器がデカいんだな

ストーリーメニュー

TOPTOPへ