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take a breather

第9章 Calling

翔が家に来るのは初めて
まさか同居する為に来ることになろうとは思ってもみなかった

少し緊張しながら玄関のドアを開ける

「どうぞ?」

「ありがとうございます」

片手にケージ、もう片方の手にスーツカバーを持つ翔の為にドアを押さえた

スーツケースとブルーに買った買い物袋を手にし、玄関を上がる

「遠慮しないで上がって」

「あ、はい…お邪魔します…」

翔が靴を脱いで上がったのを確認し
部屋の中を進んで行く

リビングに入り、手に持っていた荷物を置いた
後ろについて部屋に入って来た翔

「荷物その辺に適当に置いて?」

「はい…」

荷物を置きながら部屋を見渡す

「広いですね…」

「そうでもないだろ
物が少ないからそう見えるだけだよ」

リビングにはテレビが置いてあるローボード
それにローテーブルと二人掛けのソファーしかない

「元々モノをお洒落に置くのが得意じゃないし
掃除も楽だからリビングはなるべくモノを置かないようにしてる」

「他にも部屋があるって事ですよね?
それだけで家よりも全然広い
リビングだけで俺の部屋丸々入りますよ?」

「翔の部屋はワンルームだからな
それに比べれば確かに広いか…」

「はい。でも寝室が別にあるなら良かった」

「何が?」

「ブルーのミルクあげるのに夜中も起きなきゃならないじゃないですか
同じ所で寝てたら大野さんを起こしちゃうかな、って思ってたんで…」

「え?別々に寝るの?
ウチ、客用の布団用意してないよ?」

「それならご心配なく…
ちゃんと用意してきたんで」

「へ?」

翔が持ってきたスーツケースを開けると
中から出てきたのは…

「枕…?」

「はいっ、それにブランケットも」

以前翔の部屋に泊まった時に使ったブランケットが小さく丸められて入ってた

だから大荷物だったのか

準備いいな…
間違いなく仕事のできるヤツだってわかるけどさ

でもそんなもん持ってこなくてよかったのに…

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