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take a breather

第7章 コイゴコロ

「潤、もういいから」

「え〜、もう?残念だなぁ」

お前、本当に櫻井狙ってないよな?
そう疑いたくなるほど、本気の残念そうな顔

潤が櫻井の手を解くと、櫻井はホッと息を吐いた

握手は平気なのに
手を繋ぐのはアウトって事なんだ…

俺が櫻井の肩を抱けば
他の奴らから肩を抱かれる事も意識するようになってくれるのかな

俺にだけ心も体も気を許してればいいんだ
他の奴らになんか指一本触れさせたくない

…今まで付き合ってきた彼女たちにこんな事思ったことなかったな…

俺って恋愛においては淡白な人間だと思って来たのに
全くそんなことねぇじゃねぇかよ

潤の横で足が止まってる櫻井の元へ

「行くぞ、櫻井」

さり気なく肩に腕を回し歩みを進める

「えっ…」

小さな驚きの声

それでも俺の歩調と合わせ歩いてくれる

少し俯く櫻井の顔をチラッと見れば
やはり真っ赤に染まってて
瞼はパチパチと忙しなく動いてた

ずっとこのままで歩くわけもいかないから
店を出たところで腕を下ろしたけど

きっと今の俺の顔は、さっき潤が見せた『残念そうな顔』以上に残念な表情してんだろうな

もっと櫻井に触れていたいのに
そうできないのがもどかしい…

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