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take a breather

第1章 Now or Never

「あのさ、これって俺と正式にお付き合いして貰える…ってことでいいのかな?」

「…うん」

照れて頷く仕草が可愛い。

「俺、ツイてるなぁ」

「なにが?」

「翔くんみないな素敵な人が、俺を好きになってくれたこともそうだけど、フリーでいてくれたことも奇跡に近いよ」

「俺からすれば智くんみたいに素敵な人がフリーだったことも奇跡だよ?」

「え、俺?俺は素敵じゃないでしょ」

素敵なんて言われるとちょっと照れる。

「ううん。才能に溢れててと~っても素敵」

「ありがと…俺、そんなこと言われたの初めてだ」

「ふふっ、俺も…こんなこと人に言ったの初めて」

「やったね、翔くんの初めて貰っちゃった」

「…それだけじゃないけどね」

「えっ?」

恥ずかしそうに視線を伏せた翔くん。

「さっきのキス…俺の、ファーストキス、だよ?」

「えっ⁉マジで⁉」

「うん…」

「だって…翔くんモテるでしょ?」

「う~ん、モテるのかなぁ…何度か告白されたことはあるけど」

『何度か告白されてる』なんて十分モテてるだろ。

「それで一度も付き合わなかったの?」

「うん」

「なんで?」

「なんでだろ…気が乗らなかったから?」

そんな理由?でも俺も似たようなもんか。
チャンスがなかった訳じゃない。興味が湧かなかったから恋人を作らなかったんだ。

「俺もね、さっきのがファーストキスなんだよ?」

そう言うと驚いた表情をしたあとに凄く嬉しそうに笑ったんだ。

「俺たちって似た者同士だね」

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