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take a breather

第27章 Turning Up

そのあとは、ランチを食べて
近くにある滝を観光したり、ブラブラ散策を楽しんだ

「ホテルにチェックイン出来る時間だから行ってみようか
予約したホテルの部屋からも素敵な景色が望めるんだよ?」

「へぇ、楽しみ〜」

自分への誕生日プレゼントも込みだから、かなり奮発したホテル

まさか翔くんと来ることになるとは思ってなかったけど
奮発した甲斐があった

彼に断られたあの日は、今年の誕生日は最悪な気持ちで迎えることを覚悟してたのになぁ

まだひと月も経ってないのに
人生って何が起こるかわからないや

ホテルに着いて、部屋に案内されると
自分で選んだ部屋なのに予想以上の部屋に驚いた

「すご…」

「素敵ですね…」

窓を開け、眼下に広がる景色は
さっきふたりでスワンボートに乗った湖

その水面に映る紅葉は、一段と美しく輝いて見えた

ふたり並んで無言で外を眺める

言葉にならない美しさ…

隣に立つ翔くんをチラッと伺い見ると、真正面を見つめ、その美しさに魅入っているみたいだ

この景色を翔くんと共有出来て本当に良かった…

正面に向き直り
再び翔くんと共に、その絶景に酔いしれる

「素敵です」

翔くんがポツリと呟いた

「うん…凄く素敵な景色」

「違う」

「え?違うの?じゃあなに…」

何が素敵なのか、翔くんに聞こうと翔くんを見ると、翔くんは真剣な眼差しで僕を見つめてた

「素敵なのは、智さん」

「ぼ、く?」

「そう。景色も素敵だけど、それ以上に智さんは素敵です」

揶揄ってる?わけじゃなさそう…

そんな真剣な表情されたら、僕、なんて返したらいい?

「智さん…」

「は、はいっ」

翔くんの緊張した表情と声に、僕も緊張する…

「俺…智さんのこと、好きになってもいいですか?」

胸がキュンって締め付けられる

こんな甘い告白、されたことないよ…

僕は首を小さく縦に振った

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