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take a breather

第27章 Turning Up

新幹線から在来線に乗り換えて、更に路線バスに乗り込んだ

その間、ずっと隣にいてくれる翔くん
ふたりだけなんだから当たり前なんだろうけど、そんなことさえも嬉しくて仕方ない

「あっ、東照宮」

翔くんが窓から見える看板を見つけた

「テレビでよく紅葉の特集やると日光が紹介されるから、今回選んでみたんだけど
日光と言えば東照宮がある場所なんだよね」

「俺、まだ行ったことなくて…
一度行ってみたいんですよねぇ」

翔くんが過ぎゆく東照宮をいつまでも眺めている

「僕も行ったことない
明日、帰りに寄って行こうか?
あ、でも翔くん早く帰らないとダメかな?
何か予定あったりする?」

「いいえ。明日は丸一日予定はないから寄って帰りましょ?
折角ここまで来たんだから」

「うんっ」

翔くんと興味がある物が一緒で良かった
ニノだったら『帰りに寄るなんて面倒くさい』とか言いそうだもんな

ニノの言う通り、気心知れてるニノとの旅行よりも、趣味が一緒の翔くんとの旅行の方が楽しいかも

僕もニノの事責められないや
今は、友情よりも愛情の方が上回っちゃってる
朝は責めちゃってごめんね、ニノ

心の中でニノに謝っていると、バスが大きく曲がった

「うわっ」

耐え切れず傾いた体を、翔くんが肩を掴んで支えてくれた

「大丈夫?智さん。いろは坂に入ったみたいだから気をつけて?」

「あっ、ありがとっ」

すぐ側に感じる翔くんの吐息と翔くんの温もり

どうしよう…こんなに近いと僕のドキドキ、聴こえちゃいそう…

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