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take a breather

第27章 Turning Up

ニノの止まっていた手が動き出し、ハンバーグを一切れ口に放り込む

「本気の恋って何?」

ハンバーグをゴクンと飲み込むと、ニノが頬杖をついた

「そのまんまの意味だけど?
智って、今まで本気で好きな人と付き合った事ないでしょ」

「う、ん…まぁ…」

ニノには過去の恋人たちの事は全部知られてる
どうやって付き合い出したか、どうやって別れたかも全部…

「俺たちみたいな人間って少ないからさ
ある程度妥協して恋人を見つけるのは仕方ない事だけど
智の場合は今まで付き合ってきた人、全員そうだったんだよね」

「だって…僕が好きになる人って、普通に女の子が好きな人だから…」

「そう。だから諦めて、自分を好きだって言ってくれる人と付き合ってきた
この前フラれた彼も、半分諦めてた…と言うか、妥協してた部分もあったんじゃない?
本当に好きじゃないけど『この人なら、自分の想いを受け止めてくれるかも』って」

書道の展覧会でスタッフとして働いていた彼

人当たりが良くて、一所懸命で、周りから出されるわがままな指示に、嫌な顔一つしないで対応する彼を見ていて

この人なら僕の事も、嫌な顔しないで受け止めてくれるかな、なんて思った

だから自分が同性愛者だってことを伝えてみたんだ

そしたら、予想通り嫌な顔はせず『恋愛は自由ですから』なんて、笑顔で言ってくれて
そんな人、初めてだったから
嬉しくなって、そのまま勢いで告白した

本気で好きだったかと聞かれれば、違かったのかも知れない

現に、フラれた後も引き摺らなかったし…

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