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take a breather

第27章 Turning Up

僕の頼んだ牡蠣フライにタルタルソースを付け、口に入れる

「本当のところ、どうなの?
智は翔くんのこと、どう思ってるの?」

視線を落とし、口に入ってる牡蠣フライを飲み込んだ

「…好き」

「やっぱねぇ…翔くん見た時に、智のタイプだと思ったんだよ
でも良かったじゃん?親しくなれてるみたいで」

揶揄う様子でもなく、ニノが僕に笑い掛ける

「いいのかな…」

「なんで?ダメなの?上手くいってるんでしょ?」

「上手くいってるのは、習字の先生と生徒としてだもん」

「先生ったって、学校の先生じゃないんだから…
大人同士なんだから、プライベートでも仲良くしたって問題ないじゃん」

「問題はないけど…」

「なんかスッキリしない様子だね
何が引っ掛かってるのさ」

ニノがハンバーグを食べる手を止めた

「これ以上翔くんのこと好きになったら、辛くなる気がする…」

「なんでよ?」

「…翔くんが誰かと付き合ったらって考えるだけで、泣きたくなるから」

「だったらそうなる前に智が付き合っちゃえばいいだけじゃん」

僕は顔を伏せ首を横に振った

「ダメだよ…翔くんは、ノーマルだもん」

「今まで好きになった人たちだってノーマルだったけど、そんな事言わなかったよね?
なんで今更ノーマルだからダメなんだよ」

「今までの彼たちは、僕が『好き』ならそれだけで良かった…
でも、翔くんは違う
僕は、翔くんに僕を好きになって貰いたい…
でもそれは望めない事だから
だからこれ以上好きになりたくないんだ」

「…本気なんだ」

「えっ?」

ニノの言葉に顔を上げた
目に入ったのは、優しく微笑むニノの顔

「智、本気の恋するの初めてでしょ?」

本気の、恋?

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