
take a breather
第27章 Turning Up
それからと言うもの、翔くんは本当に習字に嵌ってくれたらしく
週に数回、僕の家を訪れるようになった
「こんにちは」
「いらっしゃい」
玄関を開けると、慣れた感じで部屋に入ってくる
教室に来る小学生たちみたいだ
「今日もよろしくお願いします」
礼儀正しく、挨拶は欠かさない
今は、字が上手くなりたいと言った翔くんの為に
綺麗に見えるバランスの取れた字の書き方を教えている
書は自由だけど、やはり基本は押さえておかないとね?
小学生たちに教えるのは、お手本を模した物が殆ど
翔くんも同じ課題で練習して貰ってる
今日の課題は『紅葉』
子供たちに季節感を持って貰いたいから、秋に相応しい文字にしてみた
「紅葉かぁ…
山の方では見頃だって、テレビで言ってましたね」
「そうだね…」
本当なら、その紅葉を彼と観に行くために取ったホテル
キャンセルするのも勿体無いから、ニノと行くことにした
しかも、僕の奢りで…
まぁ、しょうがない
ニノは紅葉に興味がないのに付き合って貰うんだから
「子供の頃に親に連れて行かれた時は、良さがわからなかったけど
今ならその良さがわかるなぁ…」
「翔くんって、渋い物好むよね?
習字もそうだけど、紅葉の良さがわかるのなんて、もっと年取ってからじゃない?」
「智さんは、紅葉を綺麗だとは思わない?」
「いや、綺麗だけど…」
「じゃあ、智さんも年寄り?」
翔くんが楽しそうに笑う
「少なくとも翔くんよりはね?
実際、僕の方が年上だし…
翔くんが若葉だとすれば、僕は紅葉かな」
「今が一番見頃、って?」
僕を見てニコッと笑った翔くん
「そっ、そういう意味で言ったんじゃないよ」
週に数回、僕の家を訪れるようになった
「こんにちは」
「いらっしゃい」
玄関を開けると、慣れた感じで部屋に入ってくる
教室に来る小学生たちみたいだ
「今日もよろしくお願いします」
礼儀正しく、挨拶は欠かさない
今は、字が上手くなりたいと言った翔くんの為に
綺麗に見えるバランスの取れた字の書き方を教えている
書は自由だけど、やはり基本は押さえておかないとね?
小学生たちに教えるのは、お手本を模した物が殆ど
翔くんも同じ課題で練習して貰ってる
今日の課題は『紅葉』
子供たちに季節感を持って貰いたいから、秋に相応しい文字にしてみた
「紅葉かぁ…
山の方では見頃だって、テレビで言ってましたね」
「そうだね…」
本当なら、その紅葉を彼と観に行くために取ったホテル
キャンセルするのも勿体無いから、ニノと行くことにした
しかも、僕の奢りで…
まぁ、しょうがない
ニノは紅葉に興味がないのに付き合って貰うんだから
「子供の頃に親に連れて行かれた時は、良さがわからなかったけど
今ならその良さがわかるなぁ…」
「翔くんって、渋い物好むよね?
習字もそうだけど、紅葉の良さがわかるのなんて、もっと年取ってからじゃない?」
「智さんは、紅葉を綺麗だとは思わない?」
「いや、綺麗だけど…」
「じゃあ、智さんも年寄り?」
翔くんが楽しそうに笑う
「少なくとも翔くんよりはね?
実際、僕の方が年上だし…
翔くんが若葉だとすれば、僕は紅葉かな」
「今が一番見頃、って?」
僕を見てニコッと笑った翔くん
「そっ、そういう意味で言ったんじゃないよ」
