
take a breather
第25章 P・A・R・A・D・O・X
二宮先生に『可愛い』って言われた時は、馬鹿にされてると思ったのに
大野先生に『可愛い』って言われると嬉しくて…
「あ、りがとうございます…」
素直にお礼を言ってしまった
大野先生は、ふにゃんと笑うと
俺に向かって手を伸ばしてきた
「赤いリボンもよく似合ってるよ」
人差し指でサラッと流すように、前髪に触れられると
胸がキュンっとして、顔が熱くなってくるのがわかる
「おっ、早かったね」
背後から聞こえる声にドキリとした
「お前、騙しただろ?」
「え〜?なんのこと?」
明らかに惚けた様子の二宮先生
「櫻井くん、暫くは着物脱がないって言ってたぞ」
「それくらいの事言わないと
のんびり屋の大野先生は動かないだろ?
いつまでも、もたもたしてるんだから」
「もたもたって…
お前と一緒にするなよ」
「一緒だろ…
人のケツは叩いたクセに、自分はのんびりしてるんだから」
「お前たちとは状況が違うんだよ」
「へぇ〜、状況なんて考えられたんだ?
マイペースで周りなんて気にしない人なのに」
「うるせっ!立場上、周りだって気にするだろが
下手やらかしたら、相手の未来にも関わるんだから」
「慎重に慎重を期したって事か…
まぁ、それだけ本気って事でもあるんだろうけど」
「そういう事だよ…」
唇を尖らせ、剥れた表情をする大野先生が可愛く見えた
俺といる時の大野先生は、いつも落ち着いた大人なのにな
ふたりのやり取りの内容は全くわからなくて、俺の立ち入れる場所じゃない
ふたりだけがわかる会話…二宮先生が羨ましい
『カズさん』イコール『二宮先生』だとわかっても、やっぱり俺はカズさんに嫉妬するんだ
大野先生に『可愛い』って言われると嬉しくて…
「あ、りがとうございます…」
素直にお礼を言ってしまった
大野先生は、ふにゃんと笑うと
俺に向かって手を伸ばしてきた
「赤いリボンもよく似合ってるよ」
人差し指でサラッと流すように、前髪に触れられると
胸がキュンっとして、顔が熱くなってくるのがわかる
「おっ、早かったね」
背後から聞こえる声にドキリとした
「お前、騙しただろ?」
「え〜?なんのこと?」
明らかに惚けた様子の二宮先生
「櫻井くん、暫くは着物脱がないって言ってたぞ」
「それくらいの事言わないと
のんびり屋の大野先生は動かないだろ?
いつまでも、もたもたしてるんだから」
「もたもたって…
お前と一緒にするなよ」
「一緒だろ…
人のケツは叩いたクセに、自分はのんびりしてるんだから」
「お前たちとは状況が違うんだよ」
「へぇ〜、状況なんて考えられたんだ?
マイペースで周りなんて気にしない人なのに」
「うるせっ!立場上、周りだって気にするだろが
下手やらかしたら、相手の未来にも関わるんだから」
「慎重に慎重を期したって事か…
まぁ、それだけ本気って事でもあるんだろうけど」
「そういう事だよ…」
唇を尖らせ、剥れた表情をする大野先生が可愛く見えた
俺といる時の大野先生は、いつも落ち着いた大人なのにな
ふたりのやり取りの内容は全くわからなくて、俺の立ち入れる場所じゃない
ふたりだけがわかる会話…二宮先生が羨ましい
『カズさん』イコール『二宮先生』だとわかっても、やっぱり俺はカズさんに嫉妬するんだ
