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take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

大野先生が家まで送ると言ってくれたのを断り、ひとりで帰宅の途についた

今は大野先生が傍にいたら、かえって辛くなる…

家に着き、自室に入ると一気に気が抜け
ベッドに倒れ込むように突っ伏した

枕に顔を埋めると
気持ちが緩んだせいか勝手に涙が流れ出してくる

平日で良かった…こんな姿、親に見られたら説明なんて出来ない

学校の男性教諭に恋をして失恋しましたなんて、言える訳がない

俺の恋心は誰にも内緒…


部屋の中が薄暗くなる頃まで泣き続けた

泣き過ぎたのか、頭がボーッとする…
涙の流し過ぎで脱水症状?
んな訳ないか…

でも喉、渇いたな…
何か飲みに行こう

階段を下りキッチンへ行くと
まだ母さんは帰って来ていなかった

冷蔵庫から麦茶を取り出しグラスに注ぐ
一気飲みして、2杯目を注いだ

先生の作ってくれたフルーツティー…美味しかったな…
また飲みたいけど、あれももう飲むことは無いだろう

目にジワリと涙が浮かんで来る…

水分補給した途端に涙が溢れてくるなんて
やっぱり水分不足で涙が枯れ果ててたのか…

これじゃあ、迂闊に水分取れないじゃん
注いだ麦茶をシンクに流し、部屋に戻った

電気をつけずに出た部屋に戻ると
ベッドの上でスマホが光る

画面を見ると大野先生からLINEの着信

『体調はどう?』

俺の体調を心配するメッセージ…

今辛いのは体じゃなくて心だけどね

LINEの画面を開かず放置して
またベッドに横になる

返信を返さなければ、大野先生は心配し続けてくれる?
少しの間だけでも、大野先生の心の中に俺は居続ける?

未練たらしいな…

ごめん、先生…
夏休みが明けるまでには、心の整理させるから

それまで頭の片隅でいいから、俺の事置いといて…

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