テキストサイズ

take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

相葉さんが買ってきてくれたのは、カップに入ったバニラアイス
少しシャリシャリしてて、暑い日に食べるには最適の一品

「ねぇねぇおおちゃん、絵描き終わったの?」

「ん、もうちょいで終わる…」

「ふ〜ん、楽しみだねぇ
好きな人の為に描いてる絵なんでしょ?
カズちゃんが言ってた」

えっ?好きな人?
先生、恋人いないって言ってたよね?
あれは、嘘?

「アイツ、余計な事を…」

苦笑いを浮かべる先生

「ふふっ、いいじゃん
カズちゃんは心配して、俺に様子見てきてって頼んだんだよ?
おおちゃんは描き始めると集中し過ぎて、寝食を取らないから
この暑さの中でそれやったら、ぶっ倒れちゃうって」

「まぁ…アイツには世話になりっぱなしだからな
感謝はしてる」

「すっかり世話女房だね?」

「それ、アイツの前で言うなよ?
痛い目見るぞ?」

またしても苦笑いをする大野先生

「くふっ、わかってま〜す」

「ほんとかよ…」

世話女房?
もしかして、まだ付き合ってないだけで
その人と両想い?

だからわざわざ相葉さんに頼んでまで、様子を見に来させた?

それに、俺には話してくれなかった新作の絵の事知ってたし…

「アイツに絵を運ぶのも手伝って貰おうと思ってて
やってくれるかな?」

「それなら大丈夫でしょ。ついでだし
『面倒くさい』って言いながらも、絶対やってくれるよ」

「だな」

ふふっ、と笑い合う大野先生と相葉さん

『ついで』なんだ…
それって、ここに頻繁に来てるって事だよね

やっぱりいたんだ…大野先生の赤い糸の相手…

先生の家に来られて…楽しい時間が過ごせて浮かれてたけど
最後に地面に叩き付けられた気分だ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ