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take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

次に大野先生が用意してくれたのは、アイスティー

「紅茶も飲むんですね
コーヒー派かと思ってました」

「殆どコーヒーだけど、たまには紅茶もいいかな、って
コーヒーの方がよかった?」

「いえ、俺はなんでも大丈夫です」

先生が入れてくれる物なら何だってオッケーだよ

グラスを持って、ひとくち口に含む

「あ、おいしい…」

アイスティーを飲むと、爽やかなフルーツの香りが鼻を抜けた

「ふふっ、よかった」

大野先生が嬉しそうに笑った

「何か果物入ってます?」

「オレンジとキウイと苺」

「そんなに?今作ったんですか?」

先生が紅茶を入れに行ったのはほんの数分
あの短時間で、何種類もの果物が入った紅茶を淹れられるのか?

「ううん、朝のうちに作っておいて、冷蔵庫に冷やしておいた
櫻井くんが来るから、美味しいお茶を用意したいな、って思ってさ」

照れくさそうに笑い、大野先生が紅茶を飲んだ

「ありがとうございます…すごい美味しい…」

俺ももうひとくち口に入れる

俺の為に大野先生が朝から作ってくれてたフルーツティー

大野先生みたいな飲み物だ
甘くて、爽やかで、しあわせな気分にしてくれる

違いがあるとすれば、フルーツティーは体を冷やしてくれるけど
先生は俺を熱くするってことくらいかな

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