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take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

2年になって担任との二者面談

正直、二宮先生の事は、あまり得意ではなかった

美術室で顔を合わせる事が多く
大野先生と仲良くしてる姿を見ると、イラッとしたから

その頃の俺は、イライラの原因がわからなくて
苛ついてるのを隠そうとしているのに、二宮先生に簡単に見破られる事にも苛ついた

さっき教室でしたみたいに
大野先生にバレないように、俺とすれ違いざま小声で呟き去って行くんだ

『眉間にシワ寄ってるぞ?何が気に入らないのかな?櫻井クンは…』

そんな事を繰り返されたおかげで、俺は大野先生への恋心を自覚してしまった

『二宮先生が大野先生にベタベタするのが気に入らない
そこは俺の場所で、大野先生の特製コーヒーは俺と大野先生がお茶する為の物なんだから!』

そう思い続けているうちに気が付いてしまった

俺がなぜ大野先生相手にドキドキするのか…
大野先生と仲良くしている二宮先生が、なぜ気に入らないのか

その答えに辿り着いたばかりの時に、二宮先生との二者面談

気まずくて、二宮先生の顔を見られない

きっと二宮先生は俺の気持ちに気付いてる
だから俺の事をずっと揶揄っていたんだ

『櫻井、俺の事、嫌いだろ?』

その一言から始まった二者面談

嫌っては無いけど、警戒はする
だって、俺の想いを知ってるかも知れないんだから

今までの俺の態度をみれば、嫌われてると思われても当然

新学年が始まって早々、担任から目を付けられてしまった…

重い気持ちで顔を上げると、二宮先生は俺が想像していたような表情ではなく、笑顔で俺を見ていた

それもまた警戒心を強める事になるんだけど…

何か企んでいるんじゃ無いかと思わせる笑顔

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