
take a breather
第25章 P・A・R・A・D・O・X
大野先生の助言を受けながら、絵を描き進めた
「うん。いい感じに描けたと思うけど
櫻井くん的にはどう?納得出来た?」
「はいっ。大満足です
俺の中での最高傑作になりました」
今まで描いてきた絵とは雲泥の差
陰影を付けただけなのに、平面だった絵が立体になった
「そっか、よかった…
これで提出出来るね?」
「はい。遅れてすみませんでした」
スケッチブックをイーゼルから下ろし、先生に差し出した
「頑張って描いた櫻井くんの絵に『がんばったで賞』贈らないとね」
大野先生は赤色の色鉛筆を持つと、俺のスケッチブックに何かを描いた
「お疲れさまでした」
大野先生がスケッチブックを俺に返してきた
先生が描き足したのは赤色のリボン
「どう?ちょっとメルヘンタッチにしてみた」
「先生、これって…」
所謂…
「ん?運命の赤い糸、的な?」
やっぱそうなんだ…
俺の描いた左手の小指に描かれた蝶結びの赤いリボン
リボンはくるっと円を描き、その先はスケッチブックの外に伸びている
「先生って、意外と乙女なんですね
赤い糸を描くなんて」
「んふっ、芸術家は想像力が大切だからね?
見えないモノが見えたりするんだよ?」
「へぇ…じゃあ、俺の実際の手にも赤い糸見えますか?」
先生の方を向き、手の甲を目の高さで掲げて見せた
「うん、見えるよ?」
指の隙間から見える大野先生の優しい表情が眩しくて、直視出来ない…
視線を下に逸らしてしまった
「そ、そうなんですねっ
誰ですか?俺の運命の相手」
「な・い・しょ」
「え?」
「教えちゃったらつまらないでしょ?
運命の相手は自分で見つけないとね」
「ははっ、そうですよね…
楽しちゃ駄目ですよね」
「相手を見つける事も人生の楽しみのひとつだからね」
大野先生は、すでに見つけたのだろうか
運命の赤い糸の相手…
先生の相手はいったいどんな人なんだろう
こんなに優しい人を相手に持てた人は、さぞかししあわせなんだろうな
「うん。いい感じに描けたと思うけど
櫻井くん的にはどう?納得出来た?」
「はいっ。大満足です
俺の中での最高傑作になりました」
今まで描いてきた絵とは雲泥の差
陰影を付けただけなのに、平面だった絵が立体になった
「そっか、よかった…
これで提出出来るね?」
「はい。遅れてすみませんでした」
スケッチブックをイーゼルから下ろし、先生に差し出した
「頑張って描いた櫻井くんの絵に『がんばったで賞』贈らないとね」
大野先生は赤色の色鉛筆を持つと、俺のスケッチブックに何かを描いた
「お疲れさまでした」
大野先生がスケッチブックを俺に返してきた
先生が描き足したのは赤色のリボン
「どう?ちょっとメルヘンタッチにしてみた」
「先生、これって…」
所謂…
「ん?運命の赤い糸、的な?」
やっぱそうなんだ…
俺の描いた左手の小指に描かれた蝶結びの赤いリボン
リボンはくるっと円を描き、その先はスケッチブックの外に伸びている
「先生って、意外と乙女なんですね
赤い糸を描くなんて」
「んふっ、芸術家は想像力が大切だからね?
見えないモノが見えたりするんだよ?」
「へぇ…じゃあ、俺の実際の手にも赤い糸見えますか?」
先生の方を向き、手の甲を目の高さで掲げて見せた
「うん、見えるよ?」
指の隙間から見える大野先生の優しい表情が眩しくて、直視出来ない…
視線を下に逸らしてしまった
「そ、そうなんですねっ
誰ですか?俺の運命の相手」
「な・い・しょ」
「え?」
「教えちゃったらつまらないでしょ?
運命の相手は自分で見つけないとね」
「ははっ、そうですよね…
楽しちゃ駄目ですよね」
「相手を見つける事も人生の楽しみのひとつだからね」
大野先生は、すでに見つけたのだろうか
運命の赤い糸の相手…
先生の相手はいったいどんな人なんだろう
こんなに優しい人を相手に持てた人は、さぞかししあわせなんだろうな
