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take a breather

第23章 証

〈翔サイド〉

智さんに呼ばれ、ベッドまで辿り着く

こんなに緊張するの、いつ以来だろう…

「おいで?」

智さんが両腕を開いて待ち構えてくれてる

自分から智さんの腕の中に行くことなんて、今まであったかな?

戸惑いながらも
ベッドの上で膝立ちになり、ゆっくりと智さんに向かっていく

智さんの足を跨ぎ、智さんの元へ…

ギュッと腰を抱き寄せられ
バランスを取るために、智さんの肩に手を置いた

「緊張してんの?」

俺を見上げる智さん…ズバッと指摘され顔が熱くなる

智さんの手が俺の頬を包む

優しく微笑む智さんに見つめられると、素直に頷くことしか出来ない

クスッと笑った智さんの手が、頬から後頭部に回った

引き寄せられ、キスされる…

軽く触れただけの唇が、いつもより熱く感じる

「こんなキスだけで、顔紅くするなよ」

そう言う智さんは、何故か楽しそう

「なんか…いつもと勝手が違くて…」

「どこが?」

「『予約』なんかしたことないから…
こんな風に誘われた事なかった
いつも突然始まるか、流れで始まる感じで…」

「あぁ、成る程な…
いきなりベッドに誘ったから、ぎこちないんだ?」

「はい…」

「付き合いたての頃思い出すな」

「え?」

「最初の頃のお前、俺が何しても照れて紅くなってたよな?」

「あ…そうでしたね」

「可愛かったよな…」

懐かしそうに目を細め微笑む
前の俺の方が良かった?

「過去形なんですね…」

つい呟いてしまった

「なに?過去の自分相手にもヤキモチ?」

「ち、違いますっ」

ニヤニヤした智さんに問われ、恥ずかしくなって否定した

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