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take a breather

第23章 証

〈翔サイド〉

智さんと絵莉ちゃんの会話がさっきよりも近くに聞こえる

目を開くと、目の前に絵莉ちゃんの姿があった

「ん……あれ?俺、寝ちゃってた?」

「あっ!おはようっ、翔くん
ご飯の用意出来たよ?」

「ありがとう、絵莉ちゃん
絵莉ちゃんが作ってくれたカレー、楽しみだな」

体を起こし、ニコッと笑ってそう伝えると
絵莉ちゃんの頬がポッとピンクに染まった

「キッチン行こっか」

絵莉ちゃんの頭に手のひらを乗せ、軽く撫でる

「うんっ」

立ち上がると、苦笑いしている智さんと目が合った

「どうかしました?」

「ん…いや、ちょっとな…」

困ったような表情をし、言い淀む智さんの前で立ち止まった

ひとりでキッチンへ入って行く絵莉ちゃんを目で追う智さん

「俺が寝ている間に絵莉ちゃんと何かありました?」

もうヤキモチは妬かないけど
智さんのそんな様子を見たら、ちょっと気にはなる…

そんな思いが顔に出ていたのか、智さんはフッと頬を緩め笑った

「絵莉のやつ、俺のフィアンセやめるんだと」

「えっ⁈本当ですか?
でも、なんで急に…」

ほっと一安心だけど
ずっと智さんを思い続けていたであろう絵莉ちゃん…
なぜ急に心変わりした?

「俺のフィアンセをやめて
お前と結婚するんだってさ」

「へっ⁈俺、と…?」

再び苦笑いした智さんが、首を縦に振った

「嘘、でしょ…」

懐いてくれたとは思ったけど、俺と結婚なんて…

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