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take a breather

第23章 証

ピアノの購入は日を改める事にした
絵莉をほったらかしに出来ないしな

絵莉も余程満足したのか
楽器屋を出た後も翔の隣を歩き、テンション高めに話してる

「あ〜、早く習いたいなぁ、ピアノ…
翔くんは何歳からやってたの?」

「俺も小学校に入ってからだったよ」

「なら、わたしも『エリーゼのために』弾けるようになるかな?」

「もちろんっ。もっと難しい曲だって弾けるようになるよ」

「ふふっ、楽しみ」

俺が割り込む隙間なく、ふたりの会話が進む

そういえば、何時まで絵莉の事預かるんだ?
ねぇちゃん、急いで出掛けて行ったから
戻りの時間まで聞かなかった

時刻は4時を過ぎている…
結婚式が昼からなら、もう終わってもいい時間だよな

念のため、スマホを見ると
ねぇちゃんから、LINEが送られて来てた

『2次会に行って来まーす
絵莉の夕食よ・ろ・し・く♡』

楽器屋にいたから、着信音聞こえなかったのか

「絵莉、ママが帰り遅くなるって…
夜メシ、ウチで食う事になったけど、何食いたい?」

「え?智が作るの?」

「おぅ。心配しなくても、普段は自炊だから、それなりに作れるぞ?」

「ほんと〜?」

絵莉が疑いの目を向ける

「ほんとだよ?絵莉ちゃん
智さんが作る料理は何でも美味しいから
何頼んでも大丈夫」

何でもなんて言われると、ハードルが上がるけど
翔が褒めてくれるのは嬉しい

「そう?ならカレーかな」

簡単な物でちょっと安心

「カレーでいいのか?」

「うん。うちは土曜日はカレーの日なの
わたしもお手伝いして、ママとふたりで作るのよ?」

「へぇ…絵莉ちゃん、素敵な奥さんになれるね」

「ほんと?嬉しい〜」

ん?

翔を見る絵莉の熱い視線に
嫌な胸騒ぎがした…

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