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take a breather

第23章 証

嵌めた指は違くても
絵莉ちゃんは指輪をした左手を目の前にやり、ニコニコしながら見つめてる

「絵莉、前見て歩かないと危ないぞ?」

見かねた智さんが注意をしても、絵莉ちゃんはやめる気配がない

仕方なし、といった感じで
智さんが絵莉ちゃんの空いてる方の手を取り歩いていく

相手は子供…そんな事は重々わかってる…

でも、俺のしたい事、望んでいる事を次々と簡単に叶えていく絵莉ちゃんを見ていると羨ましくて…
昼間に外で堂々と手を繋いで歩くなんて、俺には出来ない

人の目を盗んで軽く握られたりはするけど、ずっと歩き続けるなんて出来やしない…

「はぁ…」

「翔、疲れたか?」

「えっ?いえ、大丈夫ですけど…」

突然の質問に疑問が浮かぶ

「そう?今、溜息ついたから疲れたのかと思った」

「え…」

溜息ついてたんだ…

智さんは俺の些細な行動に気付き、気を遣ってくれてる

さっきのファンシーショップでもそうだ

なのに俺ときたら…

ヤキモチ妬いて良いとは言われたけど、これは駄目だ…
折角のお出かけなのに、空気を壊しちゃう所だった

今日は絵莉ちゃんを預かってるんだから
絵莉ちゃんが楽しんでくれれば良い

俺はいつだって智さんと一緒にいられるんだから

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