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take a breather

第23章 証

〈翔サイド〉

絵莉ちゃんが欲しいと言った物は指輪だった

お父さんと買い物に来ても、おねだりしたのだろうか…

それとも、智さんだから買って貰いたかった?

女の子にしてみれば、好きな人からの指輪のプレゼントって特別な物だよね

恋人の証?みたいな…

……いいな、絵莉ちゃん

「翔、どうした?行くぞ?」

「えっ…あ、はい」

智さんに呼ばれドキッとした
指輪…ずっと眺めてたんだ

「どうした?何か気になる物でもあった?」

「…いえ、無いです」

素直に欲しいと言える絵莉ちゃんが羨ましい…

指輪とまでは言わないにしても
俺がもし、恋人の証になるような物が欲しいって言ったら、智さんどう思うかな…

そういうの重い?

男同士でお揃いの物とか…やっぱりおかしいよね…

お会計を済ませた絵莉ちゃんは、とても嬉しそうだ

ランチをする為に『ニノミヤ』に向かう

「ねぇ智、これ、付けていい?」

絵莉ちゃんが、指輪が入れられてる小さな可愛らしい袋を智さんに見せた

「ん?今か?ウチに帰ってからでいいだろ」

「だって、早く付けたいんだもん」

「しゃあねぇなぁ…落とすなよ?」

「智が付けてよ」

「ん、貸してみろ」

袋を受け取り、中から指輪を取り出すと、絵莉ちゃんの指に嵌めた

「もお!その指じゃないわよ!その隣の指!」

智さんが嵌めたのは絵莉ちゃんの中指

「しゃあねぇだろ?指輪がデカくて
隣の指じゃ、すぐに抜け落ちて失くしちまうぞ?」

「う“ー、わかったわよ…
そのうち、ちゃんとしたエンゲージリング買ってよね」

「はっ⁈」

驚きの表情を浮かべた智さん

やっぱり絵莉ちゃんはそういうつもりで指輪を買って貰ったんだ…

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