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take a breather

第23章 証

智さんを真ん中に、3人並んで駅に向かって歩く

「絵莉、パパに何を買って貰う予定だったんだ?」

「新しいお洋服よ。去年まで着ていた夏服じゃ、子供っぽくて嫌なの」

「子供っぽいって…お前は子供だろうが…」

「ホントわかってないわね、智は…
小学生になったら、立派なレディよ?」

「ハイハイ…」

若干苦笑いの智さん

女の子って大人だなぁ…自分が小学1年生の時って、どんなだったっけ?

少なくとも『子供じゃない』なんて考えは待ってなかった

あ…でも幼稚園の時、大人の女の人は好きになったな…幼稚園の先生だったけど

あの頃は、ちゃんと女の人好きだったんだ…

その後、好きになったのも同級生の女の子だった

次は高校の時の後輩の女子で、その次は大学の同窓生…

みんな普通に可愛い子たちだった
でも、長続きはしなかったな…

いつも自然消滅か、別れを切り出されてた

俺に原因があるって事だよな…

『別れよ?』って言われて、『いいよ』って答えると
みんな哀しそうな顔をするんだ…

相手から言ってきたから
別れてあげるのが優しさなのかと思ってたけど、そうじゃないんだよな

今になってわかる…

あれは引き留めて欲しかったんだ

『別れたくない』って言って欲しかったんだよね

もし今、智さんに『別れよ?』って言われても、すぐに『はい』なんて言えない…

きっと泣いて縋る

俺のどこが悪いのか聞き出して、直す努力をする

それでも駄目なら別れるかも知れないけど、何もしないですんなり別れを受け入れる事なんてしない

プライドとか、格好悪いとかどうでもいい…
本気で人を『好き』になるって、そういう事

今までの俺は本気じゃなかった

生まれて初めての本気の恋…

智さんに出逢えて本当に良かった

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