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「なんだよ、俺のこと心配してくれたんじゃねぇのかよ」

「智…お前、それマジで言ってんの？」

「え？マジだけど？」

マジじゃダメなのか？
真面目な表情で聞いてくるってことは、真剣な質問なんだよな？

「へぇ〜…もしかして初恋？」

ニノは両眉毛を上げ、俺をじっと見る

なんで突然初恋の話？

先日の櫻井さんじゃないけど、話の流れがわからない

「初恋って誰が？」

「智に決まってんじゃん
他に誰がいるんだよ…」

苦笑いするニノ

そっか…俺か…って…

「俺っ⁈」

あまりの驚きに大声を出してしまった

「そう、智。櫻井さん見て胸がキュンキュンするんだろ？」

「確かにするけどっ
それじゃ、まるで俺が櫻井さんに恋してるみたいじゃないかっ」

「『みたい』じゃなくて、恋してるの！
俺は最初からそのつもりでいたのに、本人が気が付いてないとはねぇ…吃驚」

「最初っていつ⁈」

「あのふたりの試合を初めて観た時から…
智は櫻井さんに一目惚れしたんだろ？」

一目惚れ？俺が？櫻井さんに？

「俺が惚れたのは、櫻井さんのプレーであって…」

「そう？こう言っちゃなんだけど
あの時点での櫻井さんのプレーは、可能性は感じたけど
惚れるほど魅力的じゃなかったよ？」

「でも、俺には綺麗に見えたんだ…」

俺の目に映った櫻井さんはとても魅力的だった

「だからそれはプレーじゃなくて
櫻井さん本人が綺麗に見えたんじゃないの？」

「本人？そんな…」

「百歩譲ってプレーが綺麗だったとするよ？
でも、それだけでペア組んで勝たせてあげたいと思う？
智って自分から人に尽くしてあげたい、なんて言う人間だった？」

……じゃないな

人に尽くすなんてキャラじゃない

どちらかといえば『面倒くさい』が口癖…
人の為に役に立ちたいと思ったのは初めてかも