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take a breather

第3章 このままもっと

手から感じる温もりが全身に行き渡る。
好きな人から与えられる熱はそれ程のパワーを持ってるんだ。

「あ〜、手繋いでる〜。
ラブラブだねぇ、おふたりさん」

前を歩く潤がニヤニヤしながらこちらを振り返って見てた。

「肩抱いてる奴に言われたかねぇよ」

苦笑いしながら返す智くん。

「俺はニノのこと愛しちゃってるからね
俺たちもラブラブ~」

ニノの頭にグリグリと自分の頭を擦りつける潤。

今、ニノはどんな表情をしてるんだろう。

きっと、長年想い続けていた潤から愛され幸せな笑みを浮かべてるんだろな。

「はいはい、ご馳走さま…」

呆れたように返す智くんの表情は嬉しそう。

そりゃそうだよな。

ニノの気持ちを高校時代から知ってたんだから。
やっと実った恋を智くんも喜んでることだろう。

「良かったね、ニノ」

小さい声でそう言うと、智くんは前のふたりを眩しそうに見つめながら

「あぁ、ほんと良かった」

と呟いた。

その幸せそうな顔を見て、自分で言っておきながらニノにちょっとジェラシー。

智くんにこんな表情させるなんて…

思わず智くんの手を強く握りしめた。

「翔くん?」

「…ごめん。ちょっとニノに嫉妬した」

ニノはもちろん俺にとっても大切な友人。
ニノに質問されなければ、俺も自分の気持ちと向き合えなかった。

でも、それとこれとは別問題。

あ〜、俺って心が狭い人間…

智くんのこと散々待たせてたくせに、自分の気持ちに気付いた途端独り占めしたくなるなんて…

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