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take a breather

第3章 このままもっと

口では智くんのことを揶揄いながらも、本心は俺たちが上手くいったことを心から喜んでくれてるようで

「なにも頼まないならここ切り上げていい?
ふたりの家でゆっくり飲もうぜ
飲み潰れた後の心配いらないし」

と提案してくれた。

潤が飲み潰れたなんて話し聞いたことない。
いくら飲んでも平気な顔して朝まで飲み続けるくせに。

俺たちのことを思っての提案なんだろ?

ゆっくりしたいのは潤よりも寧ろ俺たちの方。

そのありがたい提案に俺も、もちろん智くんも乗っかった。

支払いを済ませ外に出れば、店に来た時よりも更に冷たい風が吹きつけた。

「う〜、さっみぃー!」

両手を擦り合わせながら息を吐きかける潤。

「若い頃から寒がりだよなぁ、潤は」

俺の隣には昔を懐かしむようにフニャっと笑う智くん。

「カイロ!」

そう言って潤は勢いよくニノを後ろから抱きしめた。
そのまま肩を抱き歩いていく。

酔っ払いがいてもおかしくない時間帯…これくらいの絡みはよく見る光景。

潤とニノの身長差だと、ニノの体はすっぽりと潤に収まるんだな。

それに比べて俺と智くんは身長差で言えば逆だ。

俺が智くんの肩を抱いて歩く…それもありだけど

どちらかと言えば智くんの温もりに心も体も包まれたい。

雅紀と付き合った時はそんなこと思わなかったなぁ。

何となくの流れで俺が抱かれる側だった。
コクってきたのはアイツだったからグイグイ攻めて来るのもアイツで…
俺からはキスすることさえなかった。

そりゃ気持ち疑われるよな。

だって本当に好きな人なら触れたくて堪らない。
今だって…

そんなことを考えてたら、すぐ横を歩く智くんの手が俺の手を握った。

突然の事に吃驚し、智くんを見る。

「潤の寒がりが移ったみたい」

そう言って微笑むから

「俺も、移った」

そう返し、その手を握りしめた。

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