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take a breather

第20章 I seek

リビングに入って、荷物をソファーに置いた

まずはメシだよな

「何か食うもの適当に作るから
翔くん、座って待ってて」

「智くん、最近料理するって言ってたもんね
作るところ見ててもいい?」

「別にいいけど、大したモンは作らないよ?
材料もないし、冷凍庫に入ってる肉とか魚とか焼くくらいだけど?」

切ったり、炒めたりとかがあればいいけど
そんな派手なパフォーマンスはないぞ?

「それでもいいから見ていたい…ダメ?」

「ダメじゃないよ
じゃあ始めよっか、腹減っただろ?」

「うんっ、減った」

翔くんが子供のような笑顔を見せる

キッチンへ行き、本当に焼くだけの牛肉とホッケの開き
チーズとトマトがあったからサラダを作って、あとは冷奴

「こんなんしかないけど、いい?」

「うん、十分だよ」

「飲み物は?
ビール、日本酒、焼酎があるけど、何がいい?」

「とりあえずビール?」

「だよな」

冷蔵庫から缶ビールを2本出し、グラスも一緒に用意する

「翔くん、これ持ってってくれる?
俺、料理運ぶから」

「うん」

翔くんにビールを渡し
料理をトレーに乗せ、翔くんの後について行く

リビングのローテーブルに料理を置いた

「翔くん、こっちに座りなよ」

家にはふたり掛け用のソファーが一つしかない
翔くんにソファーがある席を勧め、俺はその正面に…

「え、智くんも一緒にソファーに座ればいいじゃん
ふたりで座れるでしょ?」

ふたりしかいないのに並んで食事するという発想はなかった

でも、昨日から俺たちは恋人なわけで…
ふたりきりのこの空間なら、どんなに近くにいてもいいんだ

「んじゃ、そうすっか」

「うんっ、そうしよ
って、これ松潤から、借りたDVDだよね?
早速観てみる?」

翔くんは俺がソファーに置いた紙袋を見ている

中を見られたら中身がバレる!

慌てて手を伸ばしそれを掴んだ

「だ、大丈夫…あとでゆっくり観るから」

「そうだよね
飲みながらじゃなくて、じっくり観た方がいいね」

「うん…」

ヤバかった…

紙袋をテレビ台に置き、翔くんの隣に座った

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