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take a breather

第20章 I seek

翔くんが酔っているなら、緊張した表情を浮かべる事はないだろう

今の翔くんは、酔いが覚めている状態

少なくとも意識はしっかりと持てている

普段、緊張することのない翔くんが緊張してるんだから、余程の事だろう

そして、それは俺も同じ…

長年連れ添ったメンバーへ愛の告白…

日頃から緊張なんて感じない俺も
流石にこれは緊張した

自分の気持ちを言葉にして伝えることが、こんなにドキドキするとは…

無事、想いを伝えられてホッとした

まだ緊張した表情を浮かべている翔くんの手を引っ張り
体勢を崩したところを抱きしめる

「智くん…」

翔くんの手も俺の背中に回り、小さな声で俺の名を呼ぶ
翔くんの緊張も解けたみたいだ

「いつから?」

俺の胸に頬を寄せる翔くんが静かに問いかけてくる

「ん?」

下を向くと翔くんは視線を上に向け俺を見る

「いつから智くんの気持ちは俺に向いてた?」

「あぁ…いつからかなぁ?
それがよくわかんねぇんだよ…」

「わからない?なんで?
キッカケとか無かった?」

「キッカケは…翔くんが俺を『智くん』って呼ばなくなったからかなぁ…」

「は?なんでそれがキッカケなの?」

「翔くんが『智くん』って呼んでくれなくなって
なんか寂しくなったんだよ
んで、それから翔くんの事が気になり出して
それでもなかなか自分の気持ちには気付かなくて
ほんと最近だよ…翔くんの事、好きなんだってわかったのは」

「だからか…智くんの気持ちに気付けなかったのは…」

翔くんが納得したように呟いた

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