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Memory of Night

第6章 再会


「さぁね。見てねーけど、クリームとかのってるし結構高いんじゃねーの?」

「う……。半分食べる?」

「いーって。プリンの一つや二つで体重なんて変わんねーよ。いーから食え」

「はーい」


 志穂がカップを手の平にのせ、プリンを一口食べる。


「おいしーい!」

「……良かったな?」

 満足そうにプリンを頬張る志穂を、宵は来客用の椅子に腰かけ、ベッドに頬づえをつくようにして眺めていた。

 その視線に気付いて、志穂が手を止め不思議そうに首をかしげる。


「何?」

「体……調子はいいわけ?」

「ええ、元気よ」


 躊躇いがちに聞く宵に、志穂は屈託のない笑顔を向けた。


「体の調子は悪くはないの。ただ……部屋の中にばかりいるから体力が衰えていそうで怖いけどね」


 そう言って、小さく舌を出す。


「スゲー運動音痴だもんな、志穂さんて」

「悪かったわね」


 志穂はぷーっと頬を膨らませてそっぽを向く。子供のような仕草。

 そして、窓の外を眺めた。


「でも、そうだなぁ……。たまには外走ってみたいな」


 今までとは違い、どこか大人びた声だった。

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