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Memory of Night

第6章 再会


 その寂しげな顔を見て、宵の脳裏に晃の言葉がチラついた。


 ――宵のせいだろ? 宵がいたから、その人は病気になっちゃったんだろ? こういうことさせるのは、君にはいい罰じゃない?


 罰。

 晃の言葉は正論だった。だから逆らえなかった。宵の中でもきっと、一番後悔していたことだったから。


「宵?」


 志穂に名前を呼ばれ、はっとしたように我に返る。


「なんか、ぼんやりしてるわよ? どうかしたの?」

「ううん。別に」


 宵は首を振り、立ち上がった。


「んじゃ、そろそろ帰っかな」

「えー、もう? まだ来たばっかりじゃない。もうちょっといてくれてもいいでしょ? あ、そうだ。トランプしよう?」

「トランプ?」

「宵が前、退屈しないようにって持ってきてくれたヤツ。一人じゃ手品の練習くらいしかできないし、つまんないのよ。ねぇ、いいでしょ! 一回でいいから!」


 志穂がプリンから手を離し、宵の手を掴んで引き止めようとする。その拍子に、膝にのせたプリンを落としそうになってしまった。

 志穂はあたふたとプリンを押さえ、そのドジっぷりに宵は思わず吹き出した。

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