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Memory of Night

第6章 再会


 弘行からの詮索をまぬがれほっとしながらも、宵はその足で志穂の病室へ向かった。渡したいものがあったからだ。

 軽いノックと共にドアを開ける。

 志穂はちょうど昼食を終えたところのようだった。

 突然の訪問者に、志穂は一瞬驚いたように目を見開き、宵だとわかると途端にパァッと顔を明るくした。


「よ……!」


 また大声をあげようとする志穂を遮るように、宵が持っていたものを差し出す。それはコンビニの袋だった。

 志穂は目をぱちくりさせた。


「なぁに?」

「プリン」


 袋の中を覗くと、そこに入っていたのは生クリームと苺のクリーム、さらにその上に生の苺がのったプリンだった。


「うわーおいしそう! わざわざ買ってきてくれたの?」

「うん。通り道だったし。前食いたいって言ってたから」

「ありがとう」


 志穂は、嬉しそうににっこりと微笑み、それから何かを思い出したようにプリンを見た。


「……カロリー高いの?」


 前に宵が『カロリー一番高いヤツ』と言ったのを覚えていたらしく、ちょっと不安げに唇を尖らす。

 その子供じみた表情に、宵は呆れたような笑みを浮かべた。

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