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Memory of Night

第6章 再会


 夏休みが終わる数日前。

 十二時を少しまわった頃、宵は稼いだ金を持って志穂の入院する病院へ向かった。

 混雑したフロアを見渡し、弘行を探した。

 病室のある通路で、ワイシャツ姿の弘行はすぐに見つかった。昼休みだったらしく、白衣は脱いでいた。

 いつものように応接室に案内され、宵はそこで封筒に入れておいた金を渡した。


「……!?」


 その金額の多さに、弘行が驚愕する。


「宵くん……こんなに、一体どこで手に入れたの?」


 封筒の中身は、当然高校生の稼げる額じゃなかった。

 そう思った弘行は鋭い眼光で問いつめるが、宵は答えようとはしない。


「宵くん!」


 口調を強め、名前を呼ぶ。


「……夏休みだからバイトを増やしただけだよ」

「バイトって、どこで……」


 その時、部屋の内線が鳴った。

 はっとしたように、弘行が受話器に目を向ける。

 内線を気にしつつも、弘行は宵から視線を反らそうとしなかった。


「出なくていいの? 急患とかかもよ」

「すまない……」

「いいって。もう用は済んだし」


 弘行が受話器を取る。

 その姿を見送り、宵も応接室を後にした。

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