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Memory of Night

第7章 夏祭


 本来なら五、六分でできるメイクなのに、宵相手だと三十分はかかった。

 体を撫で、弱い部分を刺激しても体は感じているくせにそれを認めようとはしないし。

 あまりの強情っぷりに、本気でもう一度くわえさせてやろうかと思ったほどだ。

 最終的に、晃の「言うことを聞かないとまたローターを入れて祭に行かせる」という一言でかたはついた。

 そうした格闘の末、ようやくメイクを終えた頃には二人ともクタクタになっていた。

 宵のゆかたは帯をほどいてしまったのと暴れたせいですごい乱れようだったし、髪もぐちゃぐちゃでまた最初からやり直しの状況だったのだ。

 ゆかた姿の宵の乱れた格好は、抱かれた後の遊女のようでそれはそれは魅力的だったのだけれども……。

 そうこうしているうちに、結局晃の家を出発できたのは十二時近くなってからだった。

 宵は晃の強引さにキレて、それからずっと口をきいてくれない。


(確かに俺のやり方が悪かったのは認めるけど……)


 せっかくのおめでたい祭なのだから、もう少し仲良くしたい。

 晃は知らず知らずのうちに深いため息をついていた。

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