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Memory of Night

第6章 再会


 そんなもの見つけなくていいし、見つけられても逆に困る。

 やり取りを繰り返しているうちに晃との別れ道にさしかかった。


「じゃあ、三十一日俺の家に着て? そうだなぁ……時間は十時頃で」


 晃は片手を軽く振った。別れ道を歩き始める。


「待てよ! 俺は着るなんて一言も……!」


 勝手に自己完結して帰ろうとする晃に、宵が呼びかける。


「大丈夫だよ。宵なら絶対似合うから!」


 似合うとか似合わないとかの問題ではない。

 振り向き様にウインクをして、自信満々にガッツポーズをかます晃を、宵は唖然と見送るしかなかった。

 晃の背中が見えなくなり、ついつぶやいてしまう。


「……やっぱ、あいつって変態」


 もうそれは、この世の定義として覚えていてもいいかもしれない。

 宵も、自分の家に向かって歩き出す。

 晃のせいでたかぶりかけた体は、まだ熱くて、そう簡単に熱は引きそうになかった。

 おまけにあの憎たらしい笑顔まで思い出してしまって、よけいに変な気分になる。

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