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Memory of Night

第6章 再会


「……なんだよ?」

「いや、まさかOKしてくれるとは思わなかったから」

「ああ? だったら誘うな」

「まあ、当たって砕けろ、みたいな気分でさ。でも良かった。ありがとう」


 晃が屈託なく笑う。

 別に祭に行くぐらいお礼を言われるほどのことでもない気がする。

 曇りのない笑顔を向けられ、宵はなんとなく居心地が悪くなった。


「宵に合いそうなゆかたがあるから、それ着てよろしくね」

「……はぁ!? ゆかた!?」


 突然出てきた単語にわけがわからず、勢いよく晃を振り向いた。


「そうゆかた。母さんのだけどね。大丈夫、ちゃんとクリーニング出してるし」

「そーゆうこと言ってんじゃねーって! なんでいきなりゆかたの話になるんだよ!」

「何言ってんの? 祭って言ったらゆかたが定番でしょ? ……まったく君は風流心がないな」


 やれやれと、晃が首を振る。実は前から宵に着物をはおらせてみたかった、という願望があったのは勿論秘密だ。


「ゆかたって女が着るもんだろっ。なんで俺が……っ。だいたい、俺の体に合う女物の服なんてねーって言ってたじゃねーか!」

「見つかったんだ、ゆかただけど」

「見つかったって……」

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